知識は、本の中にはない

 経理・事務を担当しています黒田です。

 前回に引き続き、勝海舟と30両にまつわる有名なエピソードがあります。

 勝海舟が26歳の時、蘭和辞書を自分では買えなかったため、医者から「ヅーフ・ハルマ(全58巻)」を借りて、半年かけて手書きで写して2部を作成し、一部は自分用、もう一部は売って生活費に充てたそうです。この時、一部を売った値段もちょうど30両だったそうです。昔の偉人の勤勉さ、こうと決めたら誠心誠意、一途に励む、というところは本当にすごいですね。

 今はコピー機もあり、分からないことや調べたいことがあればネットですぐ調べられ、コピーして貼り付けることも可能な時代です。もし現代に海舟さんが生まれていたら、すごいスピードで膨大な情報を次々と頭に入れていかれたことでしょう。

 「知識は、本の中にはない(ドラッカー)」

 ドラッカーによると知識とは本などで得た情報を仕事や成果に結びつける能力だそうです。そして知識は、頭脳と技能のうちのみに存在すると主張されています。私は情報と知識を混在しがちでしたが、ドラッガーによると「インプット=情報」で「アウトプット=知識」なのですね。

 ちなみに、海舟さんが手書きで辞書を写した時、使ったインクも自分で本を見て調合したもので、ペンは鶏の羽を自分で削って作ったものだったそうです。半年がかりのすべてが手作りの辞書。海舟さんがこうまでして得たかった情報は、きっと多くの立派な知識へと昇華していったことでしょう。

 ネットは便利で、多くのインプットを与えてくれますが、役に立たせられるかどうかは結局は自分次第ということですね。私も職場で少しでもよいアウトプットを出せるよう、なけなしの頭脳と技能を使って頑張ってみます。