走れよメロス

 経理・事務を担当しています黒田です。

 昨年は「すごい功績が実は嘘であった」という衝撃のニュースがいくつかあり、世間を賑わせ、お昼時間にもよく話題になりました。私はこれらの衝撃ニュースで騒然とする中、親から「嘘をついてはいけませんよ!」と言われて育っている子供たちは、どんな思いでこれらのニュースを聞いているのだろう?と思うことがよくありました。

 たまたまネットで、一般財団法人 理数教育研究所が開催した「算数・数学の自由研究」作品コンクールに2013年度入賞した「メロスの全力を検証」と題された中学生の作品を読みました。中学生らしい手書きのレポートが研究所のHPでアップされていますので、ご興味のある方は一度是非ご覧ください。

 太宰治の「走れメロス」から、出発した時間、到着した時間、体調や気候、日の出日の入りなどを考え、アクシデントでのタイムロスなども仮定・推定し、メロスの平均移動速度を算出されています。その結果、メロスは時速3.9キロ程度という、どうやら走ってはいなかったようだ、という考察にいたっています。そして感想として、「“走れメロス”というタイトルは、“走れよメロス”のほうが合っているなと思いました。」と書かれていました。

 手書きということもあるのだと思いますが、この中学生の発想と仮定・推定が面白く、楽しく読むことができ、子供たちは興味や疑問にまっすぐと向かい合うこと、そして好奇心が旺盛であることを改めて感じました。

 分からないことがあれば、どんな時でも、どの場所にいても、スマホが答えてくれるこの時代、便利だと思う反面、「嘘の情報が本当の情報のように流れて怖いな」と思うこともあります。私自身も便利さゆえの情報のみを信じて物事を判断してしまうことがおそらく以前より増えているように思います。

 「メロスの全力を検証」という中学生の自由研究を通して、「本当にこれって信じていいのだろうか」「実際これってどうなのだろうか」と立ち止まることの大切さを改めて教えてもらいました。そして、これから残されていく功績がすべて真実である世の中であればいいなぁと思っています。